いっそう肌寒さが増し、日に何度も首をすくめることが増えてきました。まもなく冬。ぬくもりや温かさが恋しくなるこの季節、温度はもちろんの事ながら、その明るさ自体に、ほっと心が落ち着く経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
お葬儀のお手伝いをさせていただいていると、日々、当たり前のようにローソクに火を灯します。何気ないこと。けれど、必ず行うこと。なぜ?疑問を感じる機会は、いつどんな時でも大切です。
私たちは人生の多くの節目に、あかりを灯してきました。そのあかりには、様々な想いが込められています。誕生の祝いから始まり、明るさは日々を過ごす快適さ私たちにもたらし、時に不浄を払い、時に心身を清め、そして、あの世への架け橋としてのみちしるべとなるのです。
私どものお手伝いの中で、最も多い仏教においては、「光明とは智慧のかたちなり」と言われるそうです。あかりは仏さまの象徴であり、故人と遺族を結ぶ大切な道筋。最近では、焚火をただただ見つめ続ける動画などが、多くの再生数を伸ばしていると聞きます。人としての原点を感じるのか。今を見つめなおすシンボルが、具現化して見えるのか。ただ、ただ、身体の芯から癒される…それだけのことなのか。時代や国境、宗教を超え、喜びや悲しみと共に側に有り続ける灯の意味を、ゆらめく炎のオレンジ色から、教えていただけるのかもしれません。最近お葬儀にご縁のあった方も、ずっと前にご縁があって、このところは灯にご縁がないと感じる方も、そっとあかりを灯し、先人や自然という大きな存在に、教えを乞う時間があっても、よいのかもしれませんね。
文十鳳凰殿 平安会館 家族葬の結家
スタッフ一同