「昔取った杵柄」という言葉がある通り、若い頃に打ち込んだことはいくつになっても体が覚えて出来てしまう事も少なからずあるのではないでしょうか。
仕事で覚えたことが趣味に転じて楽しまれている方を多くお見掛けいたします。
以前お手伝いさせていただいたご家庭では、故人様が裁縫関係のお仕事に従事されていらっしゃり、その後は教室に通って手毬をお作りになられていたとお聞きしました。
枕元にそっと置かれた二つの手毬はご自身でお作りになられたものの一部と知り、その丁寧な仕上がりに感心しながら見させていただきました。
最後にお棺の中に入れてあげたいとお子様たちがご用意して下さっていたものでした。
お聞きするとお子様のお召しになるお洋服は全て故人様のオーダーメイドであったとか。
真心込めて作って下さったお洋服は、ご家族にとってかけがえのない故人様からの贈り物だったのではないでしょうか。
ご自宅からかき集めた手毬作品の数々を式場内でお飾りし、皆様にご覧いただきました。
展覧会などに出された作品やまだ作り始めの頃を感じさせる作品もあり、故人様が技術を磨かれてきた軌跡を見る事ができました。
手毬の中に鈴を潜ませているものもあり、皆様お手に取ってその音に耳を傾けている姿も良きひと時だったのではないでしょうか。
病を患ってからもその手元は狂うことなく、美しく丁寧に作品を作られていらっしゃったそうです。
どんなに月日が経とうとも、身体的な面での変化を感じていらしても体が覚えているというのはまさにこういう事なのだと思わされました。
黙々と細い糸を手繰り寄せながら、色鮮やかに模様を描く故人様のお姿をそれぞれの胸の内に思い浮かべていただけたと信じています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
暑い日が続きますがどうぞご自愛くださいませ。
文十鳳凰殿・平安会館
河本
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