先日、お葬儀のお手伝いをさせていただいたときのことです。
お葬儀のお打合せをさせていただいている際に「遺影写真に使いたいお写真はお決まりですか?」と尋ねると、ご家族が取り出したのは、年季が入った 1冊のアルバムでした。
たくさんの数のお写真が保管されたアルバムの中から、喪主様が指さしたのは、1枚のお写真。
そのお写真は約50年前、80代の故人様がまだ30代の頃、ご家族で旅行に出かけられた際に電車の中で撮られたお写真でした。
「晩年は寝たきりだったから、全然写真を撮る機会もなかったし、元気な時もそこまで写真を撮ってこなかったから…。」
そうおっしゃった、喪主様。なんとか探し出したこのお写真が、ご家族の満場一致で遺影写真の候補に選ばれたとのことでした。
よくお写真を拝見すると、故人様がかぶる帽子に目が行きました。その帽子はお写真の画角に入りきらず、少し切れてしまっていました。
「このまま遺影写真を作るとなると、故人様がかぶっている帽子が切れてしまうのですが、何か帽子の全体像のわかるお写真はないですか?」
アルバムの中のお写真を探していると、候補のお写真のすぐ下にあったお写真に帽子が写っているのに気づきました。
「そう、この帽子は父(故人様)のじゃなく僕のなんです。それを父はこの時かぶっていたんです。」
帽子がきれいに写ったお写真が見つかって良かったと思ったのとともに、約50年前の出来事をそこまで覚えていらっしゃったのだと感じ、丁重にアルバムごとお預かりさせていただきました。
そして、できあがった遺影写真は、もともとのお写真では切れてしまったところも綺麗に修正することができました。
参列されたご親族の方々が「若い頃の写真だけど、いい写真になったね」とおっしゃるお声が、口々に聞こえてきました。
お勤めくださったお寺様からも「ダンディな写真だね!」と、お言葉を頂きました。
お元気なうちにたくさんのお写真を残すのに越したことはないのかもしれませんが、ご家族の皆様が納得されるのであれば、遺影写真に使うお写真は最近のお写真でなくても構いません。なるべく今のお姿に近いお写真を、というのももちろん素敵ですが、ご家族の中で思い出深い1枚を選ばれるのもいいですね。
皆様にご納得いただけるように、これからも誠心誠意お手伝いさせていただきます。
平安会館 文十鳳凰殿
担当 岩崎 あずみ
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