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妻と子と仕事と友と剣道を愛す

愛知県西尾市にございます【文十鳳凰殿 西尾矢田斎場】にて、お見送りのお手伝いをさせていただきました。

代々続く豆腐屋の三代目として頑張っておられた故人様は、もともと真面目で几帳面な方でした。そのお人柄で、仕事に対しても丁寧に取り組んでいらっしゃいました。そして、周囲からの信頼と実績が伴い、学校給食にも採用されたそうです。
「ここ数年は夫が中心となって切り盛りし、懸命に励んで…。本当に手が回らないほど忙しかったのですが、必死に頑張っていた姿をこの先も忘れはしないでしょう」と、奥様はおっしゃいました。

ご家族様にお父様のご趣味をうかがうと、車・バイク・釣り・オシャレ・マリンスポーツ・スキー・キャンプなど、続々と出てきました。そのご様子からは、お父様との距離感が近かったことやご家族の仲の良さが伝わってまいりました。

ずっとその背中を見てきた喪主様からのご挨拶では、そんなお父様の偉大さと感謝の言葉が語られました。

剣道に情熱を注いでいたことも、お父様を語るうえでは欠かせません。
ご自身が小さい頃から親しみ、我が子たちが剣道を始めたのを機に指導者としての道も歩み始めました。仕事が終われば、すぐに道場へ駆けつけて子供たちに指導をしてくれたそうです。我が子や道場生が全国大会に出場すると、それに合わせて各地を飛び回ったり、まさに剣道一色の日々でした。

緊急事態宣言が明けて、ようやく普段通りの練習ができるようになったのを喜んでいた矢先、配達先で倒れ帰らぬ人となってしまった、お父様。
こんなにも急に手の届かないところへいってしまうとは想像もしておらず、ご家族の誰もが信じられない気持ちでいっぱいでした。また、志半ばであったお父様は、どれだけ悔しかったでしょうか。

「気持ちの整理をつけるには時間が必要ですが、寂しくなったら夫の笑顔を想い出し、元気を分けてもらおうと思います」と、おっしゃっていらしたご家族様。こんな素敵な笑顔が、日々瞳にうつっていらしたのでしょう。

娘様から「家族全員が、それぞれの手紙を書いたんだよ。パパにだけ伝わる言葉で…」と、そっと内緒話も教えていただきました。

本当に、沢山の方々が故人様を偲んでお越しくださいました。ご参列を感謝いたします。

ご出棺後、霊柩車は火葬場へ向かう前に〈寄り道〉するところがありました。実は、霊柩車の運転手さんへ出棺ルートの変更を告げていました。
お店の前やご自宅前の道路を通らせていただくと……、奥様より笑みがこぼれました。

「『パパ家だよ』って思わず声をかけちゃった。運転手さんがすっごくスピードをゆるめてくれて、あ~家を分かってくれてるんだなぁ~って。ありがたかったです。」

そうおっしゃる一方、その瞳の奥は涙が零れんばかりでした…。

 

この4日間、色々とお世話になりまして本当にありがとうございました。
寒い季節となりましたが、どうぞご自愛くださいませ。

文十鳳凰殿 西尾矢田斎場

担当 内野 久美子


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