母は真面目にこつこつ働きながら家族を守り、支え続けてくれました。
家族みんなに惜しみない愛情を注いでくれた母でしたが、特に孫のことはとても可愛がり、よく面倒を見てくれました。
そんな母のため、孫が和太鼓を演奏したいと言ってくれました。
私は お葬式という厳粛な場で、そんなことは無理だと思いました。しかし、担当者さんが「和太鼓は、母が孫のために用意してくれたもの。一度もその音を聞かせることができなかった」ということを聞き、私たちの想いを何とか形にしたいと、お寺様にも掛け合ってくださり、孫からの和太鼓の演奏を実現させてくれました。
和太鼓の演奏をするにあたり、孫と担当者さんは、どこの位置に太鼓を置いて、どの場面で演奏するかなど、スムーズに演奏ができるように念入りに打合せをしていました。
そんな担当者さんに孫も心を開いたようで、演奏の衣装についても相談していました。
担当者さんは、衣装の帯の白と黒の意味の違いを聞き、孫の想いをくみ取り、晴れ舞台の時に着る黒の帯を提案してくれました。
黒い帯を締め、凛とした姿で立つ孫…。
式場に響く力強い太鼓の音…。
その姿とその音は、決して忘れることはないものになりました。
いつか必ずこの日がくると覚悟はしていましたが、いざその時を向かえると、気持ちの整理はつかず、動揺するばかり。
葬儀のことを考えるだけで涙が止まらなくなっていましたが、担当者さんのおかげで私たち家族の想いをしっかりと形にし、母に届けることができました。
きっと母も「幸せな人生だった」と満足してくれていることと思います。
担当者 古橋より
2日間という短い時間のなかでしたが、お母様へのご家族皆様の温かい想いと、こころの奥底まで響き渡る和太鼓の音色に触れさせていただき、感謝しております。
お孫様から衣装の帯のご相談をいただいた時には、共に送る家族の一員に入れていただけたように感じ嬉しくなりました。ご一緒させていただき、ありがとうございました。